新潟市には、広い田園、食品づくり、商業、港や空港、大学など、さまざまな力があります。
しかし、それぞれの産業が別々に動くだけでは、地域の利益は大きくなりません。作ったものを加工し、売り、観光や交流につなげ、得られた利益を地域の雇用や次の挑戦へ回すことが大切です。
今回は、新潟市の公式資料をもとに、新潟市全体と西区の産業を分かりやすく見ていきます。

## まず知っておきたい「産業」の3分類
- 第1次産業
(農業、林業、水産業など、自然から食べ物や資源を生み出す仕事)
- 第2次産業
(製造業、建設業など、材料を加工したり、建物や道路を造ったりする仕事)
- 第3次産業
(商業、運輸、医療・福祉、教育、観光、情報通信など、暮らしや企業を支える仕事)
令和4年度の市内総生産を見ると、第3次産業が約80.5%、第2次産業が約18.6%、第1次産業が約0.9%です。
ここで注意したいのは、「割合が小さいから重要ではない」という意味ではないことです。農業で作られた米や野菜は、食品製造、運送、販売、飲食、観光へとつながります。産業は一本の線ではなく、互いに支え合う網のようなものです。
## 新潟市を支える主な産業
### 食・農業
新潟市は、全国有数の農業都市です。米だけでなく、野菜、果物、花など多様な農産物が作られています。また、米菓、日本酒、発酵食品などの食品産業にもつながっています。
一方で、農業者の高齢化、後継者不足、資材価格の上昇、販路の確保などが課題です。生産量だけでなく、加工、ブランド化、直売、飲食、輸出まで含めて価値を高める必要があります。
### ものづくり・建設
製造業は、市内で約4,022億円の付加価値を生み出しています。特に食品製造は、新潟の農業と結びつく大切な分野です。
建設業は、住宅や事業所を造るだけでなく、道路、橋、上下水道、防災設備など、市民生活の土台を支えています。人手不足の中で、技術の継承やデジタル化も重要になります。
### 商業・サービス
卸売・小売業は、市内で最も付加価値の大きい分野です。スーパーや商店だけでなく、生産者から商品を集め、必要な場所へ届ける卸売も含まれます。
医療・福祉、教育、情報通信、飲食、宿泊なども、多くの人の仕事と暮らしを支えています。人口が減る中では、地域の店やサービスをどう維持するかが課題になります。
### 港・空港・物流
新潟市には、新潟港、新潟空港、高速道路、鉄道があります。これは、農産物や製品を県外・海外へ運び、人を呼び込むための大きな強みです。
港や空港があるだけでは利益は生まれません。地域の商品、観光、商談、物流を結びつけ、実際の取引を増やすことが必要です。
### 観光・文化・交流
令和6年の新潟市の観光総入込数は約1,602万人で、前年より3.0%増えました。
食、酒、農業体験、海、潟、祭り、歴史、スポーツなどを組み合わせれば、滞在時間と地域での消費を増やせます。「来てもらう」だけでなく、「食べる、買う、泊まる、また来る」まで考えることが大切です。
## 数字で見る、付加価値の大きい分野
付加価値とは、商品やサービスによって地域の中で新しく生み出された価値の目安です。令和4年度は、卸売・小売業、不動産業、製造業、保健衛生・社会事業などが大きな割合を占めています。

## 西区の特徴――農業、商業、物流、大学
西区は、住宅地と農村部がバランスよく存在する地域です。西側には砂丘畑、南側には田園地帯が広がり、幹線道路沿いには商業施設や流通センターがあります。
### 西区の農業
- くろさき茶豆
(国の地理的表示・GI保護制度に登録された特産品)
- いもジェンヌ
(西区の砂丘地を生かしたさつまいも)
- 新潟すいか、やわ肌ねぎ、赤塚大根
(県内外にも知られる農産物)
区ビジョンの掲載値では、西区の農家は1,170戸、経営耕地面積は3,517ヘクタールです。市全体に占める割合は、農家戸数で約12.1%、耕地面積で約13.7%になります。
### 西区の商業と物流
西区の年間商品販売額は6,826億円で、市全体の約21.1%です。幹線道路沿いの店舗に加え、流通センターや古くからの商店街が、買い物、物流、地域のつながりを支えています。
### 西区のものづくり
製造品出荷額は339億円で、市全体の約3.0%です。西区は大規模な工業集積地というより、農業、商業、物流、教育研究を組み合わせることに可能性がある地域だと考えられます。
### 大学という「知」の力
西区には大学・短期大学が4校あり、区ビジョン掲載時点の学生数は約1万1,600人です。
学生を一時的な若い人口として見るだけでなく、地域調査、商品開発、デザイン、情報発信、起業、就職につなげることが重要です。大学で生まれた知識や技術が地域企業と結びつけば、西区ならではの産業を育てられます。

## 課題は「作って終わり」「交流して終わり」
地域には良い商品や技術があっても、売り方、伝え方、運び方が弱ければ、十分な利益につながりません。
また、イベントや都市交流も、参加者同士の親善だけで終われば、地域経済への効果は限られます。交流を商談、観光、教育、共同開発へつなげ、継続的な関係にする視点が必要です。
## 他県や世界との「地域外交」を利益へ
外交は国だけが行うものと思われがちですが、自治体や地域同士も、観光、文化、教育、産業などの交流を行っています。ここでは、そうした活動を分かりやすく「地域外交」と呼びます。
新潟市は、世界7都市・5か国と姉妹・友好都市、交流協定都市の関係を結んでいます。国内でも、佐渡市、高崎市、会津若松市などと観光交流を進めています。
これらのつながりを、次のような成果へ発展させることが考えられます。
- 新潟の農産物や加工食品を紹介し、販売や商談につなげる
- 相手地域の商品や文化も紹介し、一方通行ではない交流にする
- 学生、農業者、企業による共同研究や商品開発を進める
- 佐渡や会津などと周遊観光をつくり、宿泊や消費を増やす
- 海外向けに、食、酒、農業体験、自然をまとめて発信する
- 一度のイベントで終わらせず、取引額、再訪者、雇用などを確認する
新潟市は、県内外のバイヤーとの食の商談会や、農業者と食品事業者の連携支援も行っています。こうした制度を、参加した事業者の数だけでなく、実際の売上や継続取引につながったかで評価することが重要です。

## 地域の利益を増やすための提案
### 1.農業から販売までを一本につなぐ
生産者、食品会社、大学、デザイナー、運送業、商店、飲食店を結び、地域の農産物を商品化して県外・海外へ販売します。
### 2.小さな事業者も参加できる共同窓口をつくる
輸出や大規模商談は、小さな事業者が単独で行うには負担が大きくなります。品質管理、翻訳、物流、契約、広報を共同で支える仕組みが必要です。
### 3.大学と地域企業の橋渡しを強める
研究成果だけでなく、学生の発想、調査、映像、デザイン、ITなどを地域の課題解決と新事業に生かします。
### 4.観光を「地域で使うお金」まで測る
来訪者数だけでなく、宿泊、飲食、買い物、交通などに、地域でいくら使われたかを見える化します。
### 5.利益を地域内で循環させる
市外企業を呼ぶだけでなく、地元企業への発注、地元雇用、所得の向上、次の設備投資につながる条件を整えます。
## まとめ
新潟市は、農業だけのまちでも、商業だけのまちでもありません。食、ものづくり、物流、商業、観光、大学という力を持っています。
西区には、農産物、流通センター、商業、大学、海や潟など、互いにつなげられる資源があります。
大切なのは、外から人やお金を呼び込むだけでなく、そこで生まれた利益を、地域の所得、雇用、次の世代の挑戦へ戻すことです。他県や海外との交流も、親善で終わらせず、互いの地域が豊かになる関係へ育てていく必要があります。
## 出典・関連リンク
- 新潟市「令和4年度 市民経済計算」
https://www.city.niigata.lg.jp/shisei/soshiki/toukei/00_02shimin_keizai/r04.html
- 新潟市「新潟市統計書 令和7年度版」
https://www.city.niigata.lg.jp/shisei/soshiki/toukei/00_03toukeisyo/tokeishodata/r07toukeisyo.html
- 新潟市西区「西区 区ビジョンまちづくり計画」
https://www.city.niigata.lg.jp/nishi/torikumi/seisaku/vision/index.html
- 新潟市「新潟市の産業」
https://www.city.niigata.lg.jp/business/shoko/sangyo/shi_sangyo/index.html
- 新潟市「各国との交流」
https://www.city.niigata.lg.jp/shisei/kokusai/kouryu/index.html
- 新潟市「他都市等との観光交流」
https://www.city.niigata.lg.jp/kanko/kanko/renkeiichiran2020.html
- 新潟市「売上・販路を拡大したい」
https://www.city.niigata.lg.jp/business/shoko/chusyo_shien/3hanrokakudai.html
※市内総生産は令和4年度の推計値です。西区の農・工・商業の数値は、西区区ビジョンに掲載された2020年農林業センサス、令和2年工業統計調査、平成28年経済センサス等に基づくため、調査年が異なります。
しかし、それぞれの産業が別々に動くだけでは、地域の利益は大きくなりません。作ったものを加工し、売り、観光や交流につなげ、得られた利益を地域の雇用や次の挑戦へ回すことが大切です。
今回は、新潟市の公式資料をもとに、新潟市全体と西区の産業を分かりやすく見ていきます。

## まず知っておきたい「産業」の3分類
- 第1次産業
(農業、林業、水産業など、自然から食べ物や資源を生み出す仕事)
- 第2次産業
(製造業、建設業など、材料を加工したり、建物や道路を造ったりする仕事)
- 第3次産業
(商業、運輸、医療・福祉、教育、観光、情報通信など、暮らしや企業を支える仕事)
令和4年度の市内総生産を見ると、第3次産業が約80.5%、第2次産業が約18.6%、第1次産業が約0.9%です。
ここで注意したいのは、「割合が小さいから重要ではない」という意味ではないことです。農業で作られた米や野菜は、食品製造、運送、販売、飲食、観光へとつながります。産業は一本の線ではなく、互いに支え合う網のようなものです。
## 新潟市を支える主な産業
### 食・農業
新潟市は、全国有数の農業都市です。米だけでなく、野菜、果物、花など多様な農産物が作られています。また、米菓、日本酒、発酵食品などの食品産業にもつながっています。
一方で、農業者の高齢化、後継者不足、資材価格の上昇、販路の確保などが課題です。生産量だけでなく、加工、ブランド化、直売、飲食、輸出まで含めて価値を高める必要があります。
### ものづくり・建設
製造業は、市内で約4,022億円の付加価値を生み出しています。特に食品製造は、新潟の農業と結びつく大切な分野です。
建設業は、住宅や事業所を造るだけでなく、道路、橋、上下水道、防災設備など、市民生活の土台を支えています。人手不足の中で、技術の継承やデジタル化も重要になります。
### 商業・サービス
卸売・小売業は、市内で最も付加価値の大きい分野です。スーパーや商店だけでなく、生産者から商品を集め、必要な場所へ届ける卸売も含まれます。
医療・福祉、教育、情報通信、飲食、宿泊なども、多くの人の仕事と暮らしを支えています。人口が減る中では、地域の店やサービスをどう維持するかが課題になります。
### 港・空港・物流
新潟市には、新潟港、新潟空港、高速道路、鉄道があります。これは、農産物や製品を県外・海外へ運び、人を呼び込むための大きな強みです。
港や空港があるだけでは利益は生まれません。地域の商品、観光、商談、物流を結びつけ、実際の取引を増やすことが必要です。
### 観光・文化・交流
令和6年の新潟市の観光総入込数は約1,602万人で、前年より3.0%増えました。
食、酒、農業体験、海、潟、祭り、歴史、スポーツなどを組み合わせれば、滞在時間と地域での消費を増やせます。「来てもらう」だけでなく、「食べる、買う、泊まる、また来る」まで考えることが大切です。
## 数字で見る、付加価値の大きい分野
付加価値とは、商品やサービスによって地域の中で新しく生み出された価値の目安です。令和4年度は、卸売・小売業、不動産業、製造業、保健衛生・社会事業などが大きな割合を占めています。

## 西区の特徴――農業、商業、物流、大学
西区は、住宅地と農村部がバランスよく存在する地域です。西側には砂丘畑、南側には田園地帯が広がり、幹線道路沿いには商業施設や流通センターがあります。
### 西区の農業
- くろさき茶豆
(国の地理的表示・GI保護制度に登録された特産品)
- いもジェンヌ
(西区の砂丘地を生かしたさつまいも)
- 新潟すいか、やわ肌ねぎ、赤塚大根
(県内外にも知られる農産物)
区ビジョンの掲載値では、西区の農家は1,170戸、経営耕地面積は3,517ヘクタールです。市全体に占める割合は、農家戸数で約12.1%、耕地面積で約13.7%になります。
### 西区の商業と物流
西区の年間商品販売額は6,826億円で、市全体の約21.1%です。幹線道路沿いの店舗に加え、流通センターや古くからの商店街が、買い物、物流、地域のつながりを支えています。
### 西区のものづくり
製造品出荷額は339億円で、市全体の約3.0%です。西区は大規模な工業集積地というより、農業、商業、物流、教育研究を組み合わせることに可能性がある地域だと考えられます。
### 大学という「知」の力
西区には大学・短期大学が4校あり、区ビジョン掲載時点の学生数は約1万1,600人です。
学生を一時的な若い人口として見るだけでなく、地域調査、商品開発、デザイン、情報発信、起業、就職につなげることが重要です。大学で生まれた知識や技術が地域企業と結びつけば、西区ならではの産業を育てられます。

## 課題は「作って終わり」「交流して終わり」
地域には良い商品や技術があっても、売り方、伝え方、運び方が弱ければ、十分な利益につながりません。
また、イベントや都市交流も、参加者同士の親善だけで終われば、地域経済への効果は限られます。交流を商談、観光、教育、共同開発へつなげ、継続的な関係にする視点が必要です。
## 他県や世界との「地域外交」を利益へ
外交は国だけが行うものと思われがちですが、自治体や地域同士も、観光、文化、教育、産業などの交流を行っています。ここでは、そうした活動を分かりやすく「地域外交」と呼びます。
新潟市は、世界7都市・5か国と姉妹・友好都市、交流協定都市の関係を結んでいます。国内でも、佐渡市、高崎市、会津若松市などと観光交流を進めています。
これらのつながりを、次のような成果へ発展させることが考えられます。
- 新潟の農産物や加工食品を紹介し、販売や商談につなげる
- 相手地域の商品や文化も紹介し、一方通行ではない交流にする
- 学生、農業者、企業による共同研究や商品開発を進める
- 佐渡や会津などと周遊観光をつくり、宿泊や消費を増やす
- 海外向けに、食、酒、農業体験、自然をまとめて発信する
- 一度のイベントで終わらせず、取引額、再訪者、雇用などを確認する
新潟市は、県内外のバイヤーとの食の商談会や、農業者と食品事業者の連携支援も行っています。こうした制度を、参加した事業者の数だけでなく、実際の売上や継続取引につながったかで評価することが重要です。

## 地域の利益を増やすための提案
### 1.農業から販売までを一本につなぐ
生産者、食品会社、大学、デザイナー、運送業、商店、飲食店を結び、地域の農産物を商品化して県外・海外へ販売します。
### 2.小さな事業者も参加できる共同窓口をつくる
輸出や大規模商談は、小さな事業者が単独で行うには負担が大きくなります。品質管理、翻訳、物流、契約、広報を共同で支える仕組みが必要です。
### 3.大学と地域企業の橋渡しを強める
研究成果だけでなく、学生の発想、調査、映像、デザイン、ITなどを地域の課題解決と新事業に生かします。
### 4.観光を「地域で使うお金」まで測る
来訪者数だけでなく、宿泊、飲食、買い物、交通などに、地域でいくら使われたかを見える化します。
### 5.利益を地域内で循環させる
市外企業を呼ぶだけでなく、地元企業への発注、地元雇用、所得の向上、次の設備投資につながる条件を整えます。
## まとめ
新潟市は、農業だけのまちでも、商業だけのまちでもありません。食、ものづくり、物流、商業、観光、大学という力を持っています。
西区には、農産物、流通センター、商業、大学、海や潟など、互いにつなげられる資源があります。
大切なのは、外から人やお金を呼び込むだけでなく、そこで生まれた利益を、地域の所得、雇用、次の世代の挑戦へ戻すことです。他県や海外との交流も、親善で終わらせず、互いの地域が豊かになる関係へ育てていく必要があります。
## 出典・関連リンク
- 新潟市「令和4年度 市民経済計算」
https://www.city.niigata.lg.jp/shisei/soshiki/toukei/00_02shimin_keizai/r04.html
- 新潟市「新潟市統計書 令和7年度版」
https://www.city.niigata.lg.jp/shisei/soshiki/toukei/00_03toukeisyo/tokeishodata/r07toukeisyo.html
- 新潟市西区「西区 区ビジョンまちづくり計画」
https://www.city.niigata.lg.jp/nishi/torikumi/seisaku/vision/index.html
- 新潟市「新潟市の産業」
https://www.city.niigata.lg.jp/business/shoko/sangyo/shi_sangyo/index.html
- 新潟市「各国との交流」
https://www.city.niigata.lg.jp/shisei/kokusai/kouryu/index.html
- 新潟市「他都市等との観光交流」
https://www.city.niigata.lg.jp/kanko/kanko/renkeiichiran2020.html
- 新潟市「売上・販路を拡大したい」
https://www.city.niigata.lg.jp/business/shoko/chusyo_shien/3hanrokakudai.html
※市内総生産は令和4年度の推計値です。西区の農・工・商業の数値は、西区区ビジョンに掲載された2020年農林業センサス、令和2年工業統計調査、平成28年経済センサス等に基づくため、調査年が異なります。